ダイレクトクラウンはハイブリッドセラミックです。それではまずはハイブリッドセラミックについて説明していきます。まずは言葉を整理してみましょう。ハイブリッドとはウィキペディアの言葉を借りると、種や品種が異なる植物や動物から生まれた子孫。あるいは異種のものを組み合わせたものとあります。ハイブリッドセラミックは後者の方に当たります。
そうなるとハイブリッドセラミックは、セラミック(陶器)とコンポジットレジン(簡単に言えばプラスチック)の異なる種類のものを組み合わせた複合体と言えるでしょう。
さらに話を進めましょう、コンポジットレジンはフィラーとレジンで出来ています。フィラーは埋める物、詰め物、充填材、添加材と言う意味なので、レジンに含まれるものです。これから説明する3Mのダイレクトクラウンは、フィラーの中にナノジルコニアが含まれています。ジルコニアはセラミックなので、この辺りがハイブリッドセラミックと言われる理由でしょう。
従来のコンポジットレジンに比べ進化したものであります。ジルコニアを含む事で硬く丈夫になっています。しかしセラミックの言葉で勘違いされそうですが、やはりハイブリッドセラミックはプラスチックの仲間に入ります。
ダイレクトクラウンの進化した点を説明するのは、ダイレクトクラウンのフィラーの話をするのがいいようです。下の図はハイブリッドセラミックの説明書から持ってきたのですが、これで説明します。簡単に言えば含まれているフィラーがとっても小さくなりました。
シリカフィラー20nm(シリカは鉱物です、人の髪の毛や爪にも含まれているものです。)それとジルコニアナノフィラー4-11nm。従来の大きさが図に載っていますが、600nmですから隨分小さいです。小さすぎると強度が減るのでナノクラスター(原子および分子の、数個から数十個ないしそれ以上の集合体)にして強度を上げています。
あまりにも馴染みがない単位なのでピント来ません。分かりやすく例えてみましょう。1nmを1mm(ミリメートル)に置き換えたら、本来の1ミリは100メートルになります。もしこの100メール走るとするなら、下の地面の凸凹がダイレクトクラウンだと、大きくて2センチ(20ミリ)の穴に対して、従来の物は平均60センチの穴が開いています。どちらが平で走りやすいでしょか。
そして、この穴の凸凹の大きさはレジンに汚れが付きにくい事を意味します。当然穴の小さいほうが汚れにくい事になります。全くの余談になりますが、PM2.5はこの例えで言うと250センチ(2メートル50センチ〉の大きさになります。
ダイレクトクラウンは粒子を小さくすることにより、レジンの変色という欠点と、ジルコニアナノフィラーで摩耗しにくくするという点が大きく進化しています。