叢生とは歯の生える向きが本来の方向ではなく、違う向きだったり、ねじれていたりして生えてくる歯の事です。叢生は1本だけの場合もありますが、前歯6本が重なり合ってしまっている人も珍しく有りません。前歯に見られることが多いですが、奥歯でも起こります。八重歯も叢生の一種です。女の子の八重歯を可愛いという風潮もあるみたいですが、矯正歯科としては治されたほうがいいと思います。
叢生で起きる弊害はやはり虫歯になり易い事が挙げられるでしょう。やはり歯が重なっている部分は頑張って磨いても磨き残しが溜まりやすくなります。また、磨き残しが溜まりやすいのに磨きにく、デンタルフロスを使わないと完全に汚れを落としきれません。虫歯を治すうえでも、やはり正常な歯並びより治しにくいです。
左の写真がデンタルフロスです。フロスは歯ブラシと同じく、歯を磨く道具の1つです。形は糸状で、左の写真の下のデンタルフロスは適度な長さに切って使います。使い方は歯ブラシで磨いた後、歯と歯の間に糸を通し、糸をこすることで歯と歯の間の汚れを落とす清掃道具です。歯科医院や薬局で売っています。
叢生の原因は1つとは限りませんが、特に上顎前歯部(前歯の6本のことです)の叢生の原因は上顎の骨の顔を正面から見た場合、左右方向の成長の不足が大きな要因です。上顎の前後的な成長不足が別ページで説明した反対咬合ですが、左右方向の成長不足が叢生になります。
前歯部の叢生の原因は上顎骨の成長不足が要因です。今度はどうして上顎骨の左右の成長不足が生じたのかを考えると原因が明らかになります。まず1番に挙げられるのは虫歯(カリエス)です。虫歯により歯と歯の隙間が小さくなったことで起こります。
叢生の原因として挙げられる2番目の原因は、良く噛まないと顎の成長に大きく影響することです。噛むことの大切はさは別ページで取り上げると思いますが、良く噛むとその刺激で顎は成長するのです。良く噛むことは硬いものを噛むことと勘違いされることがりますが、ここでは噛む回数の事を言っています。
私達の祖先はどれ位よく噛んでいたのかを調べた方がいます。それが下の表です、これによると1回の食事で噛む回数は、弥生時代は3990回、鎌倉時代は2645回、江戸時代は1465回、そして現代時は620回だそうです。
弥生時代、謎の女王卑弥呼の時代ですね。その頃の食事は今のようにに炊飯器、ガスコンロ、IHクッキングヒーターも当然有りません。その為主食自体が非常に固かったはずです。その為、1回の食事でよく噛まないといけなかった訳です。それに比べて現代人はどんな食事かといえば、小学生の給食人気メニューは1位がカレーライス、2位がパン、3位がデザート、以下揚げ物、スープあるいは汁物、変わりご飯と続きます。(日本スポーツ振興センター「平成22年度児童生徒の食生活実態調査」で行った調査を参考にしました。)付け加えますが、上の顎の成長期である小学生の食生活が顎の大きさを決めているので、給食の人気メニューを主な食事の例として挙げています。
1回の食事で噛む回数が平安時代の6分の1に減ったのは、食生活の変化と調理器具の発達です。あと参考に、弥生時代、鎌倉時代は1日2食が普通です、江戸時代から3食に変わってきます。食生活の変化が、実は顎の成長に悪い影響が出ているのは確かなようです。
このページの最後として、良く噛むためのアドバイスとして、「一口30回噛む」これが第一歩だと思います。それと噛むことの大切さを説明するには、話す事が沢山有ります。ここでは叢生の原因の1つとして取り上げただけなので、改めて別ページで噛むことの大切さを取り上げます。