話を進める上で言葉の意味や位置を覚えて下さい。このページで大切な言葉は上顎骨と下顎骨それと反対咬合(受け口、受口)です。まず、下の写真は人の顔を真ん中で切った模式図です。そして上顎骨は上の歯が埋まっている顎の骨のことを言います。下の写真では青い部分の骨のことをいいます。そして下顎骨は下の歯が埋まっている顎の骨の事で、下の写真では赤い色の部分の骨のことを言います。
反対咬合は受け口と呼ばれます。また間の「け」を抜いて受口とも書かれていて、両方共「うけくち」と読みます。反対咬合は正常な噛み合わせであれば、上顎の歯が前に来るのですが、それが反対に下の顎の歯が前に来ている噛み合わせの事を反対咬合(受け口、受口)と言います。
反対咬合は顎の成長について説明することが、良く分かっていただけると思います。特に子供の上顎骨の成長が反対咬合の治療につながります。子供の成長期に適切な成長させるか、あるいは成長を助ける治療で顎の成長を促進させるのが、反対咬合の治療になります。それと、このページで上顎骨は「上顎」と下顎骨は「下顎」と省略して書いてあります。
成長期の骨の成長で上顎と下顎では成長時期が異なります。理由は上顎の骨は頭蓋(脳を守っている頭の骨)にくっついています。人間は脳が発達しています。その為生まれてくる時はかなり頭でっかちな状態です。そして6歳位までに脳はほぼ大人の大きさになります。当然それを覆っている頭蓋骨も大きくなります。そのせいか上顎の骨は、それに引きずられるかのように10歳−12歳ぐらいまでに大きさが決まります。
この時の上顎骨の成長は、頭蓋骨に引っ張られるように成長します。成長方向は、顔を見た時に対して前後的な方向の成長が主になります。
では下顎の成長はどうなると思いますか、下顎の成長は上顎の成長が終わった頃に上顎を追いかけるような形で始まります。おおよそ中学くらいから、女の子なら16歳ぐらいまで、男の子なら18歳ぐらいまでそれが続きます。
通常上顎が前に出ているのですが、逆に下の顎が前にでている子供は心配です。下の顎が前にでている子は反対咬合(受け口、受口、うけくち)と言われています。治療方法の説明も必要ですがそれは別の所でお話します。反対咬合(受け口、受口)の矯正を行うなら、その時期が大切です。矯正開始の時期に関しては、まず子供の成長時期を考えると、早いほうがい良い事が分かります。理由は先程述べました通り、上顎の成長時期は12歳ごろまでで止まってしまうからです。山本歯科医院では4歳位で行った事もあります。
上顎の成長時期は12歳頃までです。その時上顎が前に来ているのが正常な顎の成長です。当然下顎は成長時期ではないので、上顎に比べたら引っ込んでいる状態です。小学生低学年、中学年位では、出歯気味で深く噛みこんでいる位が正常と言えます。その後下顎が追いかけるように成長します。
今度はかけっこに例えて実況中継のように書いてみるとこうなります。上顎は下顎に比べ少し早くスタートしました。12歳まで下顎を置いてきぼりにして、上顎はがぜんリードを広げて行きます。12歳になったら今度は下顎が走りだしました。上顎は疲れ果てたのか、急激にスピードが落ちました。距離を縮めてくる下顎、ついに上顎のすぐ後ろまで追いつきました。下顎は上顎を後ろから強く押し、上顎を跳ね飛ばさんばかりの迫力です。しかし、追い越すことが出来ずゴールしました。
反対咬合ならこうなります。上顎は元気よくスタートしました。前には下顎がガードしていて、上顎はなかなか前には出られません。上顎は後ろから下顎を押し跳ね除けようと必死です。しかし、努力むなしく前に出ること無く12歳になり、ついに上顎は力尽きたのか急速にスピードを落としました。反面がぜんやる気になった下顎、前方には下顎のライバルの上顎の姿は無く下顎の独走状態です。下顎はいったい上顎との差をどれだけ広げるのでしょうか。
よく反対咬合(受け口、受口)でもたいしたことないと思う方がいらっしゃいます。問題は反対咬合を放っておくとどうなるかを、子供の顔を見て将来を想像できないからだと思います。これ位の不正咬合なら気にならないと思う方がほとんどなのかもしれませ。しかし、時期が経つと反対咬合(受け口、受口)はひどくなる可能性が高いです。上の文章を読んで気になる方はご相談下さい。