ジルコニアについて
ジルコニアは二酸化ジルコニウムのことで、その化学式はZrO2です。常態では白色の固体です。左の写真がジルコニアの結晶です。そしてジルコニアはセラミックスです。融点が2680℃と高いため、耐熱性セラミックス材料として利用されている。また、透明でダイヤモンドに近い高い屈折率を有することから模造ダイヤとも呼ばれ、宝飾品としても用いられています。
ジルコニアは二酸化ジルコニウムのことで、その化学式はZrO2です。常態では白色の固体です。左の写真がジルコニアの結晶です。そしてジルコニアはセラミックスです。融点が2680℃と高いため、耐熱性セラミックス材料として利用されている。また、透明でダイヤモンドに近い高い屈折率を有することから模造ダイヤとも呼ばれ、宝飾品としても用いられています。
ジルコニアにも幾つかの種類があります。その中で山本歯科医院ではセルコンを採用しています。ここではセルコンについて具体的な特徴をご説明します。
まず第一に、セルコンもセラミックスですから、天然歯のような優れた審美性、透明性を発揮できます。また、為害作用が無く高い生体親和性を有します。特に金属アレルギーの患者様にも有効です。それに非金属ですから金属イオンが溶け出す事による歯肉の黒変などは起こりません。
セルコンの曲げ強度は900MPaを有します。これは金属に匹敵する強度です。ISO規格によると3歯のセラミックスブリッチの曲げ強度は最低500MPa、そして4歯のブリッチの曲げ強度は最低800MPaです。(ちなみにステンレス(SUS304)の曲げ強度は250MPa)
曲げ強度だけでは強さを証明するには不十分です。もう一つ破壊靭性について触れたいと思います。ISO規格によると3歯のセラミックスブリッチの破壊靭性は最低3.5、そして4歯のブリッチの破壊靭性は最低5.0です。(ちなみにステンレス(SUS304)の破壊靭性は210です。)
そしてセルコンの破壊靭性の値は9.5です。破壊靭性および曲げ強度はISO規格において、臼歯部の3歯および4歯のブリッチにも耐えられる強度があると言えます。それに試適や仮着することも可能になりました。
無事ヘイゼルナッツの実を取り出すことに成功しました。セルコンのブリッチなら、ナッツの実を歯で取り出すことも可能です。でも、個人的な意見としてはマネしない方がいいと思います。
純チタンと比較して酸化ジルコニウムは細菌の付着量が少なく、審美性だけではなく生体親和性にも優れています。比較した純チタンは歯科ではインプラントの素材としても広く使われています。
酸化ジルコニウムに酸化イットリウムを混ぜていることもセルコンの特徴です。酸化イットリウムが添加剤として含まれることにより単体での酸化ジルコニウムよりも酸化ジルコニウムの結晶構造が安定します。それにより強度と靭性(じんせい)が増します。靱性が増すとジルコニアに粘り強さがでます。それによりセラミックスの欠点の一つが改善されます。
さらに酸化イットリウムの含有量も酸化ジルコニウムの性質を左右します。何も混ぜないと結晶の構造が不安定であり、酸化イットリウムを多く混ぜると結晶構造が安定し今度は結晶構造が変態しなくなります。安定化ジルコニウムといいます。
今度は添加剤である、酸化イットリウムの含有量を減らすし、結晶構造をわずかに変態出来るようにしたものを部分安定化ジルコニウムといいます。そして部分安定化ジルコニウムがセルコンです。ジルコニウムは下図の結晶構造が変化します。そのことを結晶構造の変態と呼びます。
部分安定化ジルコニアは、破壊の原因となる亀裂の伝搬を、正方晶から単斜晶への相変態により阻害し、亀裂先端の応力集中を緩和するため、強度や靭性等の機械的特性に優れている。
この得意なメカニズムを「応力誘起相変態強化機構」といい、最大で正方晶の約40%が単斜晶に変態する。これにより衝撃をジルコニア自体が吸収し、破折しにくくなります。
ジルコニウムは人工ダイヤモンドとしても利用されていますが、その他の色々な分野でも活躍しています。スペースシャトルの耐熱版としてもジルコニウムは利用されています。(写真左側)また、高い生体親和性と強度を生かして人工の関節の素材としても利用されています。(写真右側)